
平成21年11月2日(月)
田辺 昭人
視察日程 10月29日(木)~30日(金)
平成20年6月に議会基本条例を制定した会津若松市議会の1年半の取り組みについて、お話をうかがう。
経緯
会津若松市における議会基本条例の特色
(1)意見交換会の重要性
(2)政策形成サイクルの構築と運用
(3)
会津若松市議会基本条例は前文以下、22条の条文で構成されている、いたってシンプルと思えるものであった。
たとえば、「市民と議会の関係」において、請願や陳情といった文言は使われていない。そのことについて質問があると「当たり前なので、あえて載せていない。」との言葉が印象的だった。個人的に、私もなるべくシンプルに、且つわかりやすいものが良いと思っている。運用されていくなかで、要・不要や追加修正等があれば、「あらたむるは、はばかるに非ず」ではないだろうか。
また、市民意見重視の観点では、議会基本条例づくりの過程で議会は、「議会報告会」ではなく、「意見交換会」という名称にこだわった。市議会ではこの意見交換会を「政策形成サイクル」の起点と位置付けている。
年2回ずつ、各地で開かれる市民との意見交換会、そして議会内では広報広聴委員会と政策討論会を中心に、継続的な政策形成が行われることは結果的に、日常の議員活動が大きく変化することになった。
また、議会・議員の調査研究能力の向上や議会事務局の支援体制の整備、議員全員の共通認識の形成など課題は多いとのことである。
他に印象的だったことに、「市民からの意見にどう応えるか」がある。「意見交換会で出された意見の一つひとつに対応しなければ」という議員の不安に対し、「個別対応はしない。」との共通認識を市民にも理解させて、「課題の一本化による市民意見への対応」とした。これは市民意識の向上につながることと思う。
また意見交換会で出た意見はすべて、広報広聴委員会を通すことで情報の一元化を図るとしている。これも重要なことだ。
会津若松市議会の松崎議員からの説明の印象は、「あくまでも試行錯誤の中での運用
とされていたが、その表情からすでに実践しているとの裏付けが実に自信に満ちたものに感じられた。
そして、最後に条例を作ったのち、市民とともにどう活用し運用していくのか、意識していくことが肝心と述べられた。
私はあらためて、2元代表制のもと首長と相互の抑制と均衡を図るなかで、「議会とは何か、議員とは何かといった本質論としての裏付けを自ら求め、改革をしていかなければならない。」との思いを強くした。
歴史的にも古く、名所旧跡も数多い会津若松市は自然景観とともに城下町としてのイメージが強い町である。
人口約13万人、観光産業のほか、酒・漆器等の地場産業、最近は富士通関連企業の進出によるIT関連産業が目覚ましいとのこと。
町の中心地である大町四つ角から西にJR七日町駅までの約750メートルの七日町通りは、かつてより繁華街として賑っていたが、他都市と同様に、市街地を取り巻くバイパスの開通や道路事情の変化により消費者は、中心市街地から郊外の大型店舗へと変化した。
かつて繁栄していた中心市街地では、空き店舗が増えてきて商店街の連続性が喪失している状況にあり、負の連鎖といった感がある。
また、観光客も平成4年から比較すると100万人近く減少し、「何か手を打たなければ」との危機感が地元商店街や経済界に生まれ、「何かを始めよう」との機運が盛り上がった。
会津若松市の市街地は、明治戊辰戦争で町の大部分が焼失し、江戸にさかのぼる建物は数えるほどしか残っていないが、七日町通りを中心に明治以降の建物が多く現存していた。そこで、歴史的建物の外観を昔の風情に戻し、保存しながら城下町らしい特色のある街並みと商店街を再生することにした。
平成4年「会津若松市景観条例」が制定されてから、各商店街・地区単位で「まちづくり団体」が結成され、意識が高まってきた。平成8年には「会津若松市観光振興条例」が制定。平成10年、商工会議所を中心に「会津まちづくり会社設立準備委員会」が結成された。同年10月に国の「中心市街地活性化法」の施行を受けて、正式に「㈱まちづくり会津」が設立された。まちづくり会社として全国第一号である。
「まちづくり会津」の事業内容は多岐にわたる。以前は、商店街共通のスタンプ事業、誘客対策として「まちのふれあいステーション」事業、ホームページの開設、駐車場の運営などである。
最近では、「街なか賑わい広場整備事業」として、青春時代をこちらで過ごした「野口英世博士」に因み、「野口英世青春広場」を完成した。
これは空き地を公園として整備したものであるが、経済産業省の支援を受けて、テナントスペースを有している。その活用をするために朝市・チャレンジショップ等の有効利用が大きく賑わいづくりに貢献しているようだ。ここで興味深いことは、利用について制限の多い公園を活用して、朝市等の経済活動的な利用もできる場所にしたことである。
このほか、会津若松市における中心市街地活性化の柱としてあげられるのは、経済産業省のもと、「独法 中小企業基盤整備機構」および「中心市街地活性化協議会支援センター」の協力である。現在では多くの市町村が設置をしているが、同市では早くから設置してきたとのことである。こうした取り組みと、アイデア、また関係商店街との共通した強い思いが、この一大事業を推進させたエネルギーであったと想像する。
前述したように、会津若松市では城下町らしさにこだわったと聞く。この「らしさ」とは、中心市街地の活性化や観光誘客を考える自治体に、共通な課題といえよう。例えば本市であれば、横須賀らしさにこだわることと同じで、模倣ではない「らしさ」特徴を示すことが、誘客や活性化へのキーワードになることと考える。
また、回遊拠点を強化し観光客のニーズにこたえる回遊コースの設定や、数々のイベントを打ち出していることは、大きな原動力である。こうした積極的な取り組みは、一部の業界や地域にとどまらず、ボランティアを含む市民協働の運動として「シティセールス」につながることと考える。
