
平成22年1月19日(火)~21日(木)
田辺 昭人
1. 柏市第2清掃工場
敷地面積:約37,680㎡
建築面積:約7,963㎡
プラント:①処理能力
焼却炉:250t(125t/日×2炉)
灰溶融炉:23t/日
②焼却炉
ストーカ方式
③灰溶融炉
電機式溶融炉
④発電設備
定格出力2500kW
首都の北東部に位置する柏市は、首都圏のベッドタウンとして昭和40年代から人口が急増し、それに伴いごみ処理の対策が課題となった。市内を南北で仕分けて、現在3施設で処理を行っている。
分別等減量化にも積極的に取り組んでおり、資源化率は23%となっている。
平成17年に稼動開始した同施設は、周囲に住宅も多く、その外観は風景に違和感を生じないつくりに思えた。それは、広大な敷地の中に処理施設のほか、「多目的広場」や緑地公園、温水を利用した屋内プールや体育設備を備えた「リフレッシュプラザ柏」が併設されているせいかもしれない。
施設管理はSPC(特別目的会社)によって運営されている。焼却炉で発生した余熱は、上記コミュニティ施設での利用のほか、蒸気タービン発電機に利用されていて、売電されている。
アーク式灰溶融炉(1200℃)によって無害化されたスラグは、年/2500トン、全量が骨材として利用される。その理由として、JIS基準に準じた品質管理化が挙げられる。また、千葉県がスラグ利用促進協議会を設立し、品質管理と分析を独自に行うことで、積極的な利用を進めたことも重要なことである。
しかし、アーク式灰溶融炉は電力の消費が多く、年間の電気代が1億円かかるとのこと。
また、同施設は環境情報拠点としての取り組みが行われている。施設内は来場者のために、明るくモダンな建物になっていて、防音・防臭対策も徹底されている。
見学コースは、木が多用されており、床もフローリングで、とてもごみ処理施設とは感じられない。展示室に設置されているモニターでは、焼却の状態や排ガスの状態がリアルタイムで分るようになっている。また、3Dによるビデオが用意され、見学者が同施設を体感できるようになっている。
特筆なのは、清掃工場の地下部は鉄筋コンクリート構造で、将来の更新に耐えられる構造だということである。また、プラント更新には、柔軟性を持つ構造として地下基礎部をマットスラブとしている。
いずれ、くるであろう施設の更新を念頭に建設されていることは、大変参考になった。
2.葛飾清掃工場
敷地面積:52,000㎡
延べ床面積:29,000㎡
プラント:①処理能力
焼却炉:500t(250t/日×2炉)
灰溶融炉:110t(55t/日×2炉)
②焼却炉
ストーカ方式
③灰溶融炉
プラズマ式灰溶融炉
④発電設備
定格出力:13,500kw
葛飾清掃工場は、平成18年に同所に於ける3代目清掃工場として、更新された施設である。最新の設備によりごみ焼却から灰の溶融まで一貫したごみ処理を行っている。
都23区内では現在、一般廃棄物の中間処理を特別地方公共団体である「東京二十三区清掃一部事務組合」で協同処理が行われている。
印象的なのは、葛飾区清掃工場として同じ場所での3代目ということである。
特に現在は2代目工場の躯体を利用して、内部の焼却施設のみを最新に更新したことだ。そのため、処理能力に比べ、受け入れのプラットホームやごみバンクの規模が大きくなっている。
このことから、都内に設置せざるを得ない処理施設の現状と苦慮が窺える。設置場所難から、移転を考慮することができず、あくまでも現在地で稼動しなければならない東京都の問題は、本市を含む他自治体での共通なことと考える。
先に述べたように、東京都では23区内の協同処理が前提であるため、工事の期間中は他施設へシフトして、支障が起きない対策が取れるが、本市のように1施設のみで処理が行われている自治体では、新たな設置場所を検討するほかなく、住民対策と必要性との板ばさみで苦悩せざるを得ない。しかし、施設更新の際の一案といえるだろう。
東京においても、スラグの有効利用が考慮されている。プラズマ式電機溶融炉で生成されたスラグは、組合で一括に管理され、安全性や材料としての試験を行い、全量を資源として利用できるよう取り組まれている。そして、23区をはじめ都や民間企業などにその利用を働きかけている。その結果、地盤改良財として東京都の利用が最も大きくなっている。
所感
柏・葛飾と二箇所の最新処理施設を視察し、現在の廃棄物処理を取り巻く環境について、再認識をした思いである。
社会にとって、必要とされる施設であると同時に、地域住民からすると「迷惑施設」とされることに対して、両施設共に地元対策に大変配慮をしていることを感じた。一言で言うと、「迷惑施設」として隠すのではなく、積極的に「見せる施設」へと、意識的に取り組まれているといえる、
それは、施設内の臭気をなくし、明るく清潔な環境を作り、展示品やリアルタイムな測定状況を示すことで、環境情報の発信施設としての役割をも担っている。今後、本市も含め処理施設を新設、更新する際、同様な側面も考慮していくことも必要ではないだろうか。
また、生成される溶融スラグに対する、東京都・千葉県の取り組みが印象的だった。これは同様に三重県や群馬県についても言えることである。可燃ごみの焼却後、減量化を推し進めている方針の一方で、神奈川県のように環境物品の調達について、はっきりと方針を示さない自治体もある。その結果、生成されたスラグの山が出現することになるわけである。
本市では、焼却灰を県外の業者に引取りを依頼している現状から、将来もその環境が変わらないのであれば、焼却施設への灰溶融炉の併設は不要といえるだろう。
岐阜市上下水道事業部 下水汚泥焼却灰の有効活用について
岐阜市ではかつて、戦前から戦後の物資欠乏時代に、代替燃料としてメタンガスでバスを運行していたそうである。
岐阜市の下水道は、昭和9年、日本で最初に分流式下水道を採用し、その後当時としては先駆的に、下水処理場を有する都市となった。
戦後も、処理区域の拡大や処理施設整備に積極的に取り組んできた。
公共下水道に流入する生活排水は、岐阜市内を流れる長良川へ、そして伊勢湾に流れていく。閉鎖性水域である伊勢湾に流入する窒素・リン負荷に起因する富栄養化は、環境への影響が大きく懸念される状況にあり、下水道をはじめとする生活排水処理施設の整備を進める必要がある。同時に、窒素およびリンに係る汚濁負荷加重削減のために高度処理化を図る必要がある。
そこで岐阜市では、当初埋め立てしていた汚水から取り除かれた汚泥を焼却し、減量化を図ることとした。平成4年より、生成された汚泥を焼成レンガに加工し、「ハイカラレンガ」と名づけて販売し、市内の公園や歩道に利用するほか、一般にも販売されてきた。
しかし、公共工事量の減少など、需要が悪化してきたことから、平成20年を以って終了することになり、今後は枯渇資源であるリンの回収と資源活用へと転化することになった。平成15年から、産官協働で基礎研究を開始し、17年度より実証実験となり、その後の技術評価終了後、平成19年度に下水道法認可を取得した。
岐阜市では、リン回収にあたり、「酸アルカリ溶出法」を採用している。この方式のメリットは、各方式の中で最も多くのリンを回収できて、処理灰は重金属が低減され建設資材等への利用が容易である点である。一方デメリットとしては、放流水中のリン濃度を下げる効果が薄い。処理に劇物の硫酸を使用。処理後の洗浄水に、廃液処理が必要となる。
視察の結果、いくつかの課題があると考える。
まず、経済性についてである。将来は、工程の全自動化や燃料である重油の削減等により、コスト削減を図っていくとのことである。
また、リン販売のめどについては、肥料の全量輸入に頼る日本の現状を考慮し、全量販売が可能と、強気の姿勢を感じた。
また、抽出されたリン成分の均一性の保持については、そのバラツキを3種類に仕分け、品質管理を行う。
処理したリンは、肥料メーカーや商社、農協への販売を予定し、契約準備を含め10社以上からの問い合わせがあるとのことである。
1.大分県日田市バイオマス資源化センター
生ごみの資源化利用について
日田市は、農畜産業、林業、製材業、木工業など水を利用したものが、基幹産業であり、このような産業から家畜排泄物や木質系廃棄物、さらに生活廃棄物等の排出物をバイオマス利活用として、メタン発酵発電施設の運転を開始した。
バイオマスとは、再生可能な動植物系の有機資源を従来の焼却処理から、資源化へ転換するものである。
バイオマス化の目的とは、ごみ処理コストの削減と環境問題、新エネルギーの導入と啓発、家畜排泄物法の施行が挙げられる。因みに日田市のデータからは、これまでの焼却コスト、トン/15000円がバイオだと、トン/7300円(運搬費含む)とのこと。
また、地域的な問題として畜産環境問題がある。135億円に上る生産額をあげている畜産業において、平成11年に施行された「家畜排泄物法」は、昨今の経営状況から、処理設備を個人で改善することが困難であり、日田市にとっても対策を求められた背景があったのだと考える。
そこで、9億5千万円の事業費をかけて。
処理方式:中温湿式メタン発酵
処理能力:80トン/日
年間発電量:200万kwh
堆肥生産量:300トン/年
液肥生産量:2500トン/年
の「日田市バイオマス資源化センター」を整備した。
ここ、日田市における「バイオマス事業」の取り組みは、地域的な畜産環境から排出される豚糞尿の処理や、地元農業の堆肥利用など、条件が整っている環境が功を奏しているのではと思う。
つまり、バイオの事業化にあたっては、コスト問題のほか、生成された果実の需要の有無が重要となるのではないだろうか。
また、現地での臭気は尋常ではなく、周辺に影響の出ない環境が必須であろう。
2. 福岡市西部水処理センター
最後の視察地である。
博多湾は、閉鎖性内湾になっていてリンなどの栄養塩類が流出し、赤潮が発生するなど富栄養化の状況にある。そこで、福岡市では博多湾の富栄養化による水質汚濁を防止するため、水処理センターから放流される処理水のリンを削減する目的で、水処理施設における「嫌気光気活性汚泥法」と処理施設における「MAP法」によるリン除去施設の整備を平成11年から実施している。現在、日/56万トンに及ぶ下水道排水を既存3施設において、リンの回収を行っている。
福岡市で採用している「MAP法」とは、消化汚泥の返流水からリンを回収する技術で、高濃度のリンを回収することができる。そのメリットは、返流水からリンを回収するので、水処理へ戻るリン負荷を軽減できることから、放流水のリン濃度も低減され、セメント材料としての受け入れ安定化に効果。生成されたMAPは肥料原料として販売できる。など。
デメリットは製造コストが販売コストを上回り、製造するほど赤字になる。
また、メンテナンスに費用と手間がかかる。
説明の中でも、MAP設備のランニングコストが多大であるため、費用対効果の面から、施設自体の存続について検討の時期にある旨の話であった。
そこで、将来の対応として、窒素・リンの同時除去が可能な「嫌気無酸素好気法」を導入することとした。
コストについての説明によると、ランニングコストが50万円/トン程度掛かるに対する引き取り価格は、約2.1万円/トンで、収支の抜本的な改善は図れないとしている。つまり、この事業自体、リンを減らすことが目的であって、投資対効果的判断では、実行できないものと考える。
また、博多湾に関係するのは、博多市と福岡県のみであるため、対策の効果が分りやすいと思う。
本市を念頭に考えると、閉鎖性内湾である東京湾の水質汚濁防止を実現するときには、本市以外の関係自治体との連帯が条件である。
