
平成22年2月4日(木)
田辺 昭人
平成22年2月4日(木)
千葉県安房郡鋸南町吉浜99-5
鋸南町保田漁業協同組合
最近、地域経済の活性化の好例として話題に上る、保田漁協直営の「ばんや」を視察した。
本市とは、東京湾を挟み、対岸に位置する同地区は、これまで東京湾の豊富な水産資源の恩恵を受け、首都圏の台所として親しまれ、繁栄してきたと思われる。しかし、近年の異常気象等、水温の変化や海流の変化によって魚種の変化が見られ、従来の基軸といえる魚種が全く取れなくなるなど、漁獲も不安定といわれている。
また、漁獲量および収入の減少に加えて、従事者の高齢化さらには後継者難と、地域漁業の抱える問題は多く存在することは、本市も含めて共通の課題となっている。
そのような現状に対し、私は今後の沿岸漁業の在り方として、漁業者自らの体質改善の必要と地域活性化促進のために、従来の漁獲中心の漁業から脱皮し、「海業」として地域とともに、再生を図ることが重要と考えている。
その意味において、この保田漁協の実例は大変参考になる視察であった。
1. 御食事処「ばんや」
前身は,漁師の食堂だったものを一般用に変更した施設。メニューは、地場の魚介を中心に季節によって変わる。その特色は、量の多さとリーズナブルな価格である。その日の漁獲でメニューが変わる。
沖合でとれた旬の魚をさかなを知り尽くした地元の父ちゃん・母ちゃんが料理し、提供する。
2.「ばんやの湯」
24時間営業の宿泊もできる温泉施設である。
3.「ばんや横丁」
「食事処ばんや」の隣にあるショッピングモール。
漁協が場所を提供し、そこで事業者が経営する朝市のような店舗。居酒屋や地場の魚介を干物等、土産物として販売している。

4.遊覧船「海中透視船ばんや丸」の運航
遊覧船による、湾内観光。
前述したように、大変興味深い視察となった。なによりも、沿岸漁業の将来を見据え、生き残る手段として、これら施設を直営とした「保田漁協」の知恵と勇気に敬意を払いたい。
その結果、地域経済の活性化と地域雇用の推進が実現したのである。また、順次、施設の充実を図って、ニーズを先取りすることにより観光客の誘致にも大きく貢献していることが分かる。
「御食事処ばんや」の特色は、
1. 地産地消の取り組み
2. 地場産品による、新鮮さ
3. 安い価格
4. 豊富なメニュー
5. 食事のボリューム感
6. 観光誘客の目玉
7. 地元雇用の拡大
等が、あげられる。
食のテーマパークのような施設となっているが、いきなり現在の形になったわけではない。当初、一般客向けに改装した食堂がスタートと聞く。その成功から徐々に今の施設整備につながっていったとのことである。そこには、誘客に向けた努力があったといえるだろう。広大な敷地に整備された同施設であるが、そもそも漁業用地として整備されたであろう土地を目的外利用として認可してもらうためには、相当な苦労を要した筈である。
特に評価したいこととして、誘客に対するその姿勢がある。
まず、電車を利用する人に対して、保田駅までの巡回送迎バスを運行。
自動車利用、または観光バスの利用客に対する、大型駐車場の整備。
プレジャーボート、ヨットでの利用に対し、湾内にポンツーンを設置し、渓流場所を確保するなど、きめ細かいサービスが展開されている。
海に隣接するという財産を有効に活用し、周辺の魅力を増進しているものと考える。
本市においても、各漁協で積極的に朝市の開催など行っており、こうした努力が、地域力の向上につながるものと思う。また、今後の漁業の転換策や集客の促進および、定住の促進に向けた住環境整備の必要にもなるであろう。
